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コメコラム

「ごはん」と「ライス」

日本では、イネを表わす言葉がたくさんあります。「イネ」はもちろんのこと「コメ」「ヨネ」、そして「うるち」「もち」または「銀舎利」などさまざまです。 植物としての名前は「イネ」(基本形は「ネ」だといわれています。)、早く実るイネは「ワセ」、遅いのは「オクテ」、種は「モミ」、モミ殻を取ると「ゲンマイ」、それを精米すると「ハクマイ」「コメ」「ヨネ」、炊飯すると「メシ」「イイ」「ゴハン」と、その過程においてさまざまな呼びわけをします。

また、炊飯するにも水が多いと「カユ」、飯も寿司屋さんでは「シャリ」、レストランでは丼に入っていると「ごはん」、お皿に盛られていると「ライス」ということになってしまいます。「こめ」は古くから使われている言葉です。昔は全体を表わす呼び名として使われていたということですが、現在では植物全体を指すよりは食べる部分、つまり玄米や白米の部分を呼ぶようになっています。  

英語ではすべて「ライス」一つで済んでしまいます。呼び方に様々な言い方があるということは、それだけわれわれ日本人にとっては親しいたべものであり、重要な作物として、日本人が米食中心の食生活を形作ってきた理由なのかもしれません。

(ムギだとこうはなりません。畑に生えているときも、粒になっても、炊いたものもすべて「ムギ」ということです。)
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「精米歩留り」と「炊飯歩留り」

米の機能および多様性についてこれまで述べてきました。米の収穫時は「籾」として収穫されます。私どもの工場に入荷される時は「玄米」というかたちで入ります。籾から玄米に(籾ずり)すると、たとえば、10kg籾は約8kgになります。8kgの玄米は精米すると7.2kg程になります。つまり、収穫から精米工場の製品になるまで約30%がなくなります。精米工場での役割としては「安心」「安全」「トレーサビィリティ」が重要ですが、「精米歩留まり」が技術的に大きなテーマになります。8kgの玄米から何kgの精米を作り出すかが大切です。品質を維持しながら精米歩留まりを高めることが課題となります。なぜならば、年間1万t精米したとすると1%の違いで100tの精米が出来上がったか、そうでなかったかが発生してしまいます。これは、経営的には大変なことであります。
(米1粒の構造)
玄米の各部分の重さを比率で表しますと玄米を100とすると、白米は92、胚は3、その他の糠の部分は4~5の割合になります。

コメの構造(『米のはなしⅠ』より)

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同様に「ごはん提供業」においては、1kgの原料精米から何kgのごはんを作るかが大きなテーマになります。当然「美味しく」なくてはなりません。炊飯技術が大切になります。美味しいご飯を炊くということは、簡単なように思いますが、加熱調理の中でもっとも難しいものの一つだといわれております。炊飯という加熱調理は「煮る」「焼く」「蒸す」の三つの操作の複合であることが知られています。家庭での炊飯はマイコンによって炊飯条件が制御されております。当社では美味しいご飯はもとより、現状にあった最良の炊飯方法の研究を続けております。原料の精米水分・白度、それに対する浸漬時間・加水量あるいは加熱条件・蒸らし時間・飯米水分など基礎的なデータを積み重ね、より美味しいご飯を炊くための炊飯試験と食味試験を重ねております。

「精米とは?」:玄米から糠層を取り去ることです。

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「炊飯とは?」

加熱調理 :  「煮る」「焼く」「蒸す」の三つの複合加熱調理(炊き干し法)
作業面  :  計量・洗米・水加減・浸漬・加熱・蒸す・撹拌
(加水+加熱)
化学変化 :  生でんぷん  ⇒    糊化でんぷん(α化) ⇔ β化
水分面  :  15%前後   ⇒    65%前後
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ご飯の保存について

ご飯は蒸らしあがった時点から30分~1時間程度までが、熟成、温度条件ともに最も美味しく食べられます。それ以降は温度が冷めたり、老化が始まって美味しさが損なわれます。特に最近のように電子ジャー機能で保温する場合は、一般的に72℃~74℃の高温に置かれるため、次に示すような様々な物性変化によりご飯の品質低下をきたします。
・ 脂肪酸とその化学変化で生じるアルデヒドによる蒸れた臭い。
・ 糖とアミノ酸のアミノカルボニル反応による黄変。
「アミノカルボニル反応」:還元糖のもつカルボニル基は蛋白質やアミノ酸などの種々の
アミノ基と反応して最終的に褐色物質のメラノイジンを作ります。
・ 水分蒸発による黄ばみ。
・ 澱粉の老化による粘着性低下。
保温状態や個人の感覚にもよりますが、3時間を過ぎた頃から口に含んだときに保温独特の味、臭いを感じるようになります。
逆に保温温度を低くすると上記「劣化」は低減できますが、枯草菌をはじめ一般細菌の繁殖温度帯に入り「腐敗」につながります。
図1は保温温度の高温側、低温側におけるご飯の劣化状況を概念的に示したものであります。保温温度は67℃~77℃の範囲が適当とされているが、高温側の劣化を避けるため70℃以下に設定すると局部的な低温部に枯草菌が繁殖することがあります。このため普通は腐敗劣化を避けるため、高温劣化寄りの72℃~74℃に設定されているのもが多いです。
保温によるご飯の劣化
一般家庭では、保温する場合は短くて5~6時間、長いと20時間を超すような使われ方をしており、このような長時間保温では温かさだけがご飯の美味しさとして評価されているに過ぎません。余ったご飯を長時間保存する場合は、一旦冷まして冷蔵、または冷凍して変色や臭いなどの不可逆な変質を防ぎ、食べる量だけ再加熱する方法が多少の手間はかかっても美味しく食べられる方法です。
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真空冷却について

どうして真空冷却機で冷却できるのか?

食品は一部の食材について生で食べておりますが、大半は加熱して食べています。加熱は煮る、蒸す、揚げる、焼く等の加熱調理に分けられます。特に、加熱したものを直ぐに食べず、長時間経過した後食べる場合には「微生物(安全)対策」のため、加熱後の「冷却」が必要であることは良く知られてます。最近では社会生活、食生活の変化により、大量炊飯工場での加工米飯が増加しており、コンビニエンスストアの個包装米飯等も登場して、米飯も多様化が進んでおります。そうした商品を消費者に安全に届けるには加熱調理後の「冷却」が不可欠となっております。
「冷却とは物体の持っている熱量の一部を除くこと」です。冷却の方法としては、冷たい空気や水で温度差を利用して食品を冷却したり、物体から水分が蒸発することによって熱量を除く真空冷却があります。前者は「伝熱冷却」であり、後者は水の蒸発に必要な潜熱が使われるので「潜熱冷却」といわれております。
ここでは「真空冷却」について、その原理を説明いたします。
通常、水の沸騰する温度は100℃ですが、富士山の頂上でお湯を沸かすと、88℃程度で沸騰します。これは、平地と比べ富士山の頂上の気圧が低いことが起因しています。つまり、気圧の低いところでは水の沸点が低下するということです。これを、富士山の頂上よりももっと気圧の低い場所で水を沸かせると、水は10℃でも、5℃でも沸騰します。
また、水は沸騰すると蒸気になりますが、水から蒸気になる際に、多量の熱を吸収します。(この熱を「蒸発潜熱」または「気化熱」と言います。)
ここで真空冷却機の登場です。加熱調理した食材(高温の食材)を真空冷却機に入れて、その回りを真空状態にすると、食材に含まれている水分が、真空下で沸騰し始めます。水分が沸騰し蒸発する際に、多量の熱を食材から奪う(吸収する)結果、食材の温度は低下します。
真空状態は食材の表面だけでなく、食材の中心部も真空になりますから、中心部からも蒸気が発生し、それと同時に中心部の温度も低下します。真空冷却機の冷却で、表面と中心部に温度のムラが発生しないのは、この理由によるものです。
一方、エアーブラストによる冷却は、食品の周囲より冷却する方法で、表面は低温になるが内部は高温のままとなり温度にムラが生じます。また、冷却時間が60分以上と大変時間がかかります。
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参考資料:「JVIA」真空実験より
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直播栽培できて味も良い新品種「萌えみのり」の開発

田植えは重労働

昭和40年代半ばから田植機が普及し,それまでの手植えに比べて田植えは大変楽になりました。しかし,機械が植えてくれるものの他にも大変な作業があります。種をまいて水を含んだ苗箱は1枚7kgほどにもなります。1haの水田(横100m,縦100m)なら約200箱の苗を育てますが,ビニールハウスに並べたり,育った苗をトラックに積んで田んぼまで運んだり,1枚ずつ田植機にのせたりする作業は全て人の手で行われます。一般的に男性は田植機を運転しているので,重労働の苗運びは女性に任されがちです。また,田植えが終われば苗箱洗いが待っています。まだまだ田植えは楽ではありません。

田植え不要の稲作り

この大変な田植えをしなくても良い稲作があります。水田に直接種もみをまいてそのまま秋に収穫する「直播栽培」という方法です。種まきにはいくつかの方法がありますが,いずれも田植えより手軽でスピーディーなのでより広い水田で稲作が可能になり,高齢化で人手が足りなくなったご近所の田んぼまで種まきすることもできます。さらに育苗箱もビニールハウスも使わないので資源の節約にもなります。イネも広い田んぼでのびのび育つので,どんどん枝分かれして茎を増やし,美味しいお米をたくさん稔らせることができます。

直播栽培も簡単ではない

スペース いいことずくめの直播栽培のようですが,実はここまで来るまでに多くの困難がありました。深く播きすぎて芽が出なかったり,寒くて芽が出なかったり,鳥に食べられたり,雑草が増えたりとはじめの頃は大変でしたが,農薬メーカーや機械メーカー,公的機関が優れた農薬や機械,栽培法を開発して克服してきました。ただ,秋に強い雨が降ったり風が吹いたりするとイネが倒れてしまうという問題が残されていました。田植えをしていないので茎の根本が地面の上に出ていてグラグラと不安定だからです。とくに有名な美味しい品種(例えばコシヒカリ,あきたこまち等)は背が高くて茎が柔らかいので,直播栽培では簡単に倒れてしまいます。倒れると実りが少なくなるだけでなく,収穫作業も大変になってしまいます。そのため,直播栽培に取り組む農家の方々からは,倒れにくい直播栽培用の新品種を望む声が上がっていました。
直播栽培での種まきの様子
動力散布機さえあれば誰でも可能
ヘリコプターが使われることも・・・
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田んぼの表面に播かれた種もみ
不規則に散らばっています
芽が出てその場で成長し,秋に稲穂が稔ります

倒れない品種を創る

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ばっさり倒れた「あきたこまち」(左)と
スッと立っている「奥羽382号」(右)
東北地域の農業を研究している独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター(秋田県大仙市)では,農林水産省のプロジェクトの中で倒伏に強く直播栽培が可能なイネ品種の開発に20年近く前から取り組んできました。品種改良の第1歩は親選びです。外国にはよほどのことがない限り倒れない強靱なイネがいくつかあったので,日本の良食味品種と交配(かけ合わせること)して品種改良を始めました。ところが,確かに倒れないのですが,茎や葉ばかりが頑丈で肝心の米の収穫量が少なかったり,食べておいしくなかったりするイネばかりが生まれてきました。外国のイネの特徴を日本のイネに取り入れようとすると10年や20年では難しいのです。  

妥協も必要?

そこで,外国品種を使ったハイレベルな品種改良は別途進めることにして,差し迫った要望に応えるために日本の品種の中から親を選ぶことにしました。日本の品種にもそれなりに倒れにくい品種があるものです。今から9年前(1997年)の夏,多収穫で美味しい宮崎県の「南海128号」と倒れにくくて美味しい山形県の「はえぬき」が交配されました。味や品質を重視した日本品種同士の組合せです。翌夏には,両親の性質を一粒一粒違う形で受け継いだ570粒の種子をまいて育て,その中から頑丈そうな84株を選び出しました。翌年には84から10,さらに翌々年には10から4,さらに次の年には4から2と穂が出る時期,寒さや病気に対する強さ,収穫量の多さ,ご飯の美味しさ等で厳しい選抜が行われました。そしてついに交配から5年目の2002年,最も優れた1系統に「奥羽(おうう)382号」という番号をつけることができました。「奥羽382号」を実際に直播栽培してみると,"なみ"の品種がバサバサ倒れる中,スッときれいに立っています。外国品種ほどではありませんが,従来のブランド品種に比べると明らかに倒れにくいのです。そして,味や品質も両親の血筋を引いて優れています。やっと直播栽培で倒れない東北地域向けの系統が誕生しました。

遅すぎた?新品種開発

予選を勝ち抜いた「奥羽(おうう)382号」は,いよいよ東北6県を中心とした公的研究機関において新品種候補として詳しく試験されることになります。ところが,世の中は進歩しており,倒れやすい「コシヒカリ」でも直播栽培がなんとか可能になっていました。田植えしたように整然とまける機械で多少手間はかかっても比較的丈夫なイネを育てられるようになったからです。こうなると無名の「奥羽382号」は出る幕がなく,試験はすべて数年で打ち切られてしまいました。ヘリコプターで種まきしなければ間に合わないほどの大規模農家があれば「奥羽382号」が間違いなく活躍するはずですが,時代はそこまでは進んでいませんでした。もう10年早ければ,あるいは10年遅ければ歓迎されたかもしれません。

捨てる神あれば・・・

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田植えをするような直播用機械
苗は見えないが,種がきれいにスジ状にまかれている。秋には田植えした水田と見分けが付かない
ただ,「奥羽382号」が優れた直播栽培用系統であることに変わりはありません。このまま埋もれさせるのは簡単ですが,それは研究開発費の無駄であり東北の稲作の損失でもあると考え,なんとか新品種にできないかと模索していました。そのような時に生産者と環境に優しい直播栽培を広めたいという「奥羽382号」の開発コンセプトを理解してくださる生産者やお米屋さん,ご飯屋さんがいました。それは,お米の名前だけにこだわらず,美味しさを重視する方々でした。手間やコストがかからない直播栽培で多収穫でき,しかもブランド米と同じかそれ以上の美味しさを持つ「奥羽382号」を使いたい,という声に推され,ついに特例的に新品種にすることが認められました。県の推薦なしで新品種になることは大変めずらしいことです。正式名称は,水稲農林416号「萌えみのり」に決まりました。2006年秋,交配から9年が経っていました。  

稲作が変わる日

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食味試験(食べ比べ)の結果
(4~14回の試験結果平均値)大きな差ではないが,平均するとブランド米より高い数値を示す
ただ,「奥羽382号」が優れた直播栽培用系統であることに変わりはありません。このまま埋もれさせるのは簡単ですが,それは研究開発費の無駄であり東北の稲作の損失でもあると考え,なんとか新品種にできないかと模索していました。そのような時に生産者と環境に優しい直播栽培を広めたいという「奥羽382号」の開発コンセプトを理解してくださる生産者やお米屋さん,ご飯屋さんがいました。それは,お米の名前だけにこだわらず,美味しさを重視する方々でした。手間やコストがかからない直播栽培で多収穫でき,しかもブランド米と同じかそれ以上の美味しさを持つ「奥羽382号」を使いたい,という声に推され,ついに特例的に新品種にすることが認められました。県の推薦なしで新品種になることは大変めずらしいことです。正式名称は,水稲農林416号「萌えみのり」に決まりました。2006年秋,交配から9年が経っていました。  
著作者
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
東北農業研究センター 低コスト稲育種研究東北サブチーム
片岡 知守
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ご飯をたくさん食べてすこやか健康生活を......!

日本人の平均寿命は男が78.4歳、女が85.9歳で(2002年)、ともに世界一の平均寿命を誇っています。また、WHOは平均寿命の他に、健康でいられる寿命(国民が平均的に病気や他人の介護がなく、生存できる期間)を健康寿命として発表しておりますが、これも世界一です。この日本人の健康性の背景には、米を中心とした食生活が関係しているといわれております。
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私たちの食生活は、日本の伝統的生活パターンである「ごはん」を中心として、大豆、野菜、魚など国内で生産、捕獲される素材を用い醤油、味噌などにより調理、味付けされた副食を組み合わせるものが典型的でした。このようなパターンに畜産物や油脂類の消費が増え、その結果、昭和55年頃には、主食であるお米を中心として畜産物や果物などがバランス良く加わることによって、健康的で豊かな食生活「日本型食生活」が実現しました。
「日本型食生活」の特徴はエネルギーの摂取、炭水化物(62%)脂肪(25%)蛋白質(13%)の摂取比率といわれており、理想的な栄養バランスにあります。それに比べ、アメリカ人の食生活は44%、43%、13%という比率で脂肪が非常に多い食生活をしています。
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人間は、赤ちゃんの時代に、高脂肪食の人乳で食生活をスタートします。アメリカ人の場合には、高脂肪食を生涯続けていきます。それに対して、日本人は若いときには、脂肪の多いものをかなり食べますが、中年以降になると脂肪の少ない食事に自然に切り換えていきます。
基礎代謝は生涯において中・高校生の年代には最大になったあと、それ以降は徐々に低下していき、40代に入ると急に著しい低下を示します。中年以降は脂肪摂取を控えて、体の脂肪分解能力に見合った、脂肪の取り方をするのが合理的なのです。
日本人の若者や子供の食生活を考えてみると、アメリカの子供たちと同じように脂肪の多い食事を好むという点では共通していますが、日本人の食卓には脂肪の少ない食事が頻繁に登場して、脂肪の多い食事から脂肪の少ない食事まで、幅広く栄養のバランスを体験することができます。すなわち、幅広い「食歴」を持つことができるのです。
特に、ごはんだと魚を食べる場合に、煮魚、さしみ、焼き魚から、油を使ったフライや天ぷら、ムニエルまで、自由自在に食べることができます。しかしながらパンの場合には、脂肪の多いフライかムニエルのような料理しか食べることができません。野菜についても同様のことがいえます。パンはサラダのようなドレッシング、マヨネーズを使う、いわゆる脂肪の多い調理で食べることになるからです。
しかし、ごはんの場合には、煮物や漬物、おひたしのような脂肪を加えないものも自由に食べられます。卵も生卵を食べるごはんと生卵を食べないパンと言う具合に、すべての食材料と組み合わせを考えても、ごはんは、しょうゆ味を中心にした食べ方から、脂肪を加える食べ方まで、自由に組み合わせできると言う特徴を持っています。
このように、ごはんは相手の味や食物を選ばない、と言う大切な特色があります。したがって、栄養的に脂肪の少ない食事から脂肪の多い食事まで幅広く組み合わせることができます。この幅広い「食歴」が、基礎代謝の低下と脂肪の分解能力の低下が顕著になる中年になると、そのことをよく感じ取って、脂肪の少ない食事に切り換えていく、大きな下地になっているものと考えます。
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DNAについて

DNAとは何か?

DNA(Doexyribo Nucleic Acid)は、細胞にある核の中にあり、2本の鎖が絡まりあって螺旋状になった構造をしています。DNAは、糖・リン酸・塩基の3つの成分で構成されています。塩基にはアデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4種類あります。これら4種類の塩基によってDNAの2本の鎖は結合していますが、そこでは必ずAとT、GとCがペアになって結合しています。
DNA上には、生物の体の構築や生命活動に必要なタンパク質などを作るための設計図が、塩基の配列によって書かれています。この設計図の部分のことを遺伝子といいます。それぞれの遺伝子は、ある決まった時期に決まった場所で正しく使われることによって、生物が正しく形作られ、生命活動を営むことが出来ます。

遺伝子はどうやって増える??

細胞は分裂して増えます。しかし、どんなに分裂しても、ひとつの細胞の中にある遺伝子の数は変わりません。遺伝子は、「どうやってタンパク質をつくるか」という情報を新しい細胞に伝えなければならないので、新しい細胞も全く同じ遺伝子を持たなければならないのです。
そこで、DNAは「半保存的複製」を行ないます。塩基の組み合わせは必ず決まっているので、同じ鎖が出来るのです。

DNA鑑定のはなし

コメは肉眼で品種を判別することはかなり難しいので、DNA鑑定をするのが最も良い方法とされています。現在、日本のコメはおよそ50種類くらいDNA鑑定での判別が可能です。DNA鑑定の簡便な方法として、上記の「半保存的複製」の特徴を生かした、PCR(Polymerase Chain Reaction)法があります。
PCRを使うと、遺伝子の「ある特定の部分」だけをたくさん増やすことが出来ます。 遺伝子の「ある特定の部分」は、たくさん増やして電気泳動という方法を行なうと、その長さ・形などによって、品種ごとに異なる結果が得られます。前もって目的の品種の「ある特定の部分」が電気泳動によってどんな状態になるかわかっていれば、検体の品種が正しい品種かどうか調べられるのです。
例:三菱化学ビーシーエルのカタログより

遺伝子組換え技術の基礎

DNAの中の特定の塩基配列だけを認識して、その部分を切ってしまう「制限酵素」というものがあります。逆に、切られたDNAをくっつける「DNAリガーゼ」という酵素もあります。
すべての生物は化学的に同じ構造のDNAを持っています。例えば、もし人間と大腸菌のDNAの中に、制限酵素で切れる同じ塩基配列があったとしたら、原理的には人間と大腸菌のDNAをくっつけることができます。このようにしてできたDNAを組換えDNAと呼びます。

イネゲノムプロジェクトとは?

遺伝情報全体のことを「ゲノム」といいます。
イネゲノムプロジェクトは、10年以上前から農水省で準備を進めてきた国家プロジェクトで、現在では11カ国が参加する国際プロジェクトになって公的データベースが置かれています。
2002~2003年中にはイネ(日本晴)の全ての塩基配列が特定できるだろうといわれています。
また、イネのDNAのどの遺伝子がどんなことに役立っているのか(耐寒性・アレルゲンフリー・病虫害抵抗性・収量増・コレステロール低下など)を解明し、その部分の遺伝子を単離する方法を見つけることも大きな目的となっています。
これらは遺伝子組換えなどの技術に必要な情報です。イネのゲノムは小麦やトウモロコシなど、他の穀物よりもサイズが小さいので調べ易く、また、イネで発現する遺伝子は他の穀物でも発現していることが予想されます。イネゲノムプロジェクトは非常に重要な研究であるといえます。

遺伝子組換えイネの実状

遺伝子組換え食品が世界で初めて流通したのは1994年、現在日本では大豆・ジャガイモ・トウモロコシなど、合計43品目が食品としての安全性が確認されています。また、遺伝子組換えの技術の食品以外での用途としては、糖尿病の治療に使われるインシュリンなども遺伝子組換えの技術により大量に作られています。
イネに関して日本では各県の農業試験場などで研究が行なわれていて、低アレルゲンイネやウイルス病に強いイネ、トリプトファンを多く含む飼料用転作イネなどの開発が積極的に行なわれています。また、低タンパクのイネは、日本酒などの加工用にも適するといわれているし、腎臓の機能に障害のある人たちはタンパク質の摂取が制限されることから、医療現場においても商品化が望まれています。最近では除草剤耐性のイネが開発され、愛知県の農業試験場で育てられています。
遺伝子組換え作物を開発するには、基本的にまず科学技術庁の確認により実験を行ない、その後、農林水産省の確認により隔離ほ場試験を行なった上で、一般ほ場への栽培が可能になります。それとは別に、輸入・食用としての流通にあたっては、厚生省の安全性審査を受けることになっています。コメに関してはまだこの安全性審査は行なわれておらず、輸入・国内生産ともに流通していません。 遺伝子組換え食物の問題点としては、安全性の確認があいまいなこと、アレルギーの不安、未知の有害物質の可能性、抗生物質耐性の遺伝子の作用、環境や生態系に与える影響、餌として与えられた家畜への影響などが挙げられます。消費者からの反発は激しいものとなっているようです。
参考:NS遺伝子研究室HP(http://web.wtez.net/n/s/ns54007/), 遺伝子の生物学/石川統著/岩波書店
遺伝子組み換えイネ監視市民センターHP(http://www.gmrwatch.org/) ...etc
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米の「シェルフライフ(保存期間)」についての検証

コメの保存期間の検証に当り、(財)日本穀物検定協会中央研究所、農水省の食品総合研究所あるいは農水省農業研究センターなどの公的機関の研究報告を調査致しましたが、精米後の賞味期間と食味についての詳しいデータは発見できませんでした。
これは、13%~14.5%の精米水分では「腐敗しない」ということが前提条件となっており、その必要性がなかったことが大きな要因のようです。しかし、近年「産地精米」の普及あるいは「精米年月日」の表示等が問題になり、精米後の賞味期間の研究が必要となりつつあります。
これまでの研究によりますと、シェルフライフに関連するものとして、主に「玄米の貯蔵保管における温度と湿度の関係」、「貯穀害虫の誘発の要因」などのような研究が多く報告されております。その中でも、「プラスチックフィルムによる包装米の保存性」の実験報告は、米の水分含量と包装材料との関連においてとらえ、常温における米の長期保存の可能性を検討したものとしては興味深いものがあります。特に、糸状菌数の変化をポリエチレン包装米の各水分含量別の保存限界を示している図(1)の表は水分管理の面から精米の「安全性」を考える上で貴重なデータと考えます。
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米は大部分玄米の形で貯蔵されておりますが、米の品質低下を防いで長期間貯蔵するためには、温度を低くすることが重要です。現在の低温貯蔵は、温度が15℃以下、相対湿度が75%前後で行われております。図(2)に低温貯蔵米の食味を示しましたが、現段階では低温で貯蔵する以外にはその食味の保持する方法は見当たらないようです。
このことは、同様に精米の食味劣化防止という点で同じことが考えられます。また、15℃以下という温度帯は、多くの種の貯蔵害虫の発育と繁殖(25℃~32℃で最も繁殖)を抑える条件とも重なるからです。
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また、図(3)は「精米の保管に関する試験」で日本精米工業会のデータです。現在では精米が加工されてから消費者のところで食べきるまでの期間は45日位とみられております。この図によれば夏の暑い時期は食味の保持は30日位が限度で、できるだけ30日以内に消費したほうがよろしいということを示しております。また、精米は1ケ月を境にして急激に味が落ちるというわけではなく、徐々に味が劣化していくと考えます。米は生鮮食品とは違い水分の少ない乾物ですので、味が落ちるのはそれほど早くはないのです。
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《参考資料・文献》
  1. 「プラスチックフィルムによる包装米の保全性」 農林水産省食品総合研究所
  2. 「米麦害虫に対する安全で効果的な防除戦略について」 食品総合研究所流通保全部
  3. 「冷蔵および低温保管中における米の経時的品質変化」 日本穀物検定協会中央研究所
  4. 「玄米の密封系貯蔵における不活性ガスの影響」 農林水産省食品総合研究所
  5. 『稲と米』― 品質を巡って ー 農林水産省農業研究センター
    生物系特定産業技術研究推進機構
  6. 『稲と米』― 品質を活かす ー 農林水産省農業研究センター
    生物系特定産業技術研究推進機構
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『 遺伝子組換え 』をめぐる諸問題について

近年、食品の安全、安心が強く求められる中、遺伝子組み換え作物が海外で栽培され国際市場で流通しております。遺伝子組み換え作物についてはその表示・規制などについて、国内外で様々な議論が行われております。日本では、2001年4月より遺伝子組み換え作物の使用表示が義務付けられ、消費者に対して正確な情報を提供する必要性がでております。
現在作物としては7種類、大豆・なたね・じゃがいも・とうもろこし・わた・てんさい・トマトがあります。
遺伝子組換え技術は1973年、アメリカの研究者らが微生物を使って世界で初めて成功しました。1994年には、アメリカで日持ちを良くしたトマトが初めて商品化されました。それ以来、除草剤や害虫に強いトウモロコシ、大豆などが次々と開発され、アメリカでは今年の作付けに対する遺伝子組換え大豆の割合は約80%、トウモロコシも40%近くに達しています。
国内でも、アレルギーを誘導する物質「アレルゲン」が少ないイネ(低アレルゲン米)、酒造に適した低タンパク質イネ(低タンパク米)など、遺伝子組換え農作物の研究が進められておりますが、商業用の栽培はまだ行われておりません。
それでは、遺伝子組換えは従来の品種改良とどう違うのでしょうか?
それは、生物の種類に関係なく品種改良の材料にすることができるということです。人工的に遺伝子を組み換えるため「種」を超えて他の生物に遺伝子を導入することができ、農作物等の改良の範囲を大幅に拡大できたり、改良の期間が短縮することができるのです。
遺伝子組み換えは、DNAという生命の根源を操作する技術であり、これによる作物は、従来の作物には存在しなかった性質を持つ全く新しい作物です。したがって、有毒物質の発生状況あるいは周辺作物への悪影響(交雑をめぐる強い不安)など検証しなければならない問題も多くかかえております。しかし、今後(次ぎの世代、またその後の世代にわたって)予期せざる影響はどうなるのかわからない。また、事実上「その影響を検証することができない」ことに大きな課題があります。
特に、日本における問題の特殊性は、食糧自給率の低さにあり、食糧のほとんどを外国に依存しなければならないことにあります。2010年までにはカロリーベースで45%(目標)まで食糧増産したいと考えているようですが、なかなか難しいようです。
大豆の場合、自給率は3%。食品用として使用している量は100万トン/年(そのうち15%が国産の非遺伝子組換え原材料の大豆)。大豆のアメリカへの依存度は非常に高く年間500万トンを超える量を輸入している。そのためか、表示基準の中で納豆・醤油などの表示については「遺伝子組換え不分別」で義務表示となっております。
また、遺伝子の特許をめぐっての議論も活発になっております。アメリカでは「遺伝子」そのものを特許として申請しており、これは先に発見したり、発明したことを主張する主義に基づくものであります。
それに反し、ヨーロッパや日本は「先願主義」を主張しております。「先願主義」とは?特許権を受ける権利を、先に出願した人に与える。と言う立場のことを指します。
先願主義の特許制度においては、特許を検討している技術の発表の前に必ず特許出願を行う必要があります。しかしながら、世界の食糧の10%を握っているといわれる巨大穀物商社、モンサント社・カーギル社などは「種子を制するものが世界を制する。」を掛け声のもと、種子ビジネスを盛んに展開しております。
日本の場合は種子について公共のものとして捉えてきた歴史がありますが、モンサント社の場合は、特許権を取りながらも「公共のもの」だとしているが条件付「公共」であり、使用料(ロイヤリティ)が取られるのです。
かつて「緑の革命」は日本の小麦「農林10(短稈)」(ノーリン・テン)によってもたされました。アメリカ、メキシコで交配され、それがインドその他の国にまわり作物の増収を実現し、食糧自給を達成させた歴史があります。
「種子」は人類共有の財産として位置付けていく必要があるのではないでしょうか。
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新品種の普及について

前回はコメの持つ「多様性」・「機能性」について述べさせていただきました。それでは、コメの新品種がなかなか普及しないのは何故なのでしょうか。
新しい品種を開発するのに10年はかかると言われておりますが、最近では沖縄に持って行って年に2回、場合によっては3回、タネを播いて収穫することによって「世代促進」を行っております。
品種改良は主に「交配」という方法をとることが多いのですが、例えば「ひとめぼれ」は「コシヒカリ」と「初星」を両親にして交配させた品種です。 〈イネ品種・特性データベース〉より
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交配したてのころは遺伝的に不安定であり、世代を重ねることによって、遺伝的に安定してきます。そのために、何代にもわたって世代を重ねることが必要になってきます。
「品種」という言葉にはいろいろな意味あいがあります。「奨励品種」というのは、県が普及すべきものとして奨励し指定しているものです。
「品種登録」すると20年間、品種を育成したものにそれを許諾する権利はあります。この場合、その品種の性質が良いか悪いかが問題ではなく、他のものと区別がつくかということが重要になります。 例えば「あきたこまち」は品種登録をとっていませんので、誰でも自由に作られる品種なのです。最近判ったことなのですが、あきたこまちは約41系統にも分かれてしまい、本来のあきたこまちが判らなくなってしまいました。 そこで、ある生産者が原々種のあきたこまちのタネ7g(約300粒)を入手し、選抜(DNA鑑定)しながら原々種の復活をさせました。
それから、「銘柄品種」というのがありますが、これは農政事務所が県と協議して決定し、検査場の仕分けをすることが指定された品種です。これに指定されていないと検査を受けることが出来ません。つまり、その品種名を商品(袋)に表示することが出来ません。特に、新形質米はなかなか奨励品種になりませんので、県が積極的にそれを普及させるところまでいきません。奨励品種になったものが銘柄指定になることが多いのですが、指定されない場合は、なかなか名前を表示して販売できない状況にあります。
このように、一口に「品種」と言いましても、その登録指定を難しくしています。特に、奨励品種にならなくとも銘柄だけでも指定しようとする場合は、生産者(契約栽培)と流通あるいは消費者の声を行政に伝えることが重要になってきます。そこで、はじめて市場に流通することになるのです。
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古くて新しいコメ

古来より日本人はお米を主食としたそれに伴う文化を形作ってきました。
白いご飯は一日に三食、毎日食べ続けても飽きることない日本人の主食です。
私たちは毎日ご飯を食べていて、米のことなら何でも知っているようでいて何も知らないのです。
米は日本で自給できる唯一の主要穀物です。
日本では米不足の時代が長く続き、白いご飯がお腹いっぱい食べられるようになったのは、まだ半世紀にも満たないのです。これは、多収の(品種改良)イネ品種の育種や栽培(農業)技術の革新によるものです。それらの成果が実って、昭和41年ようやく米の生産が消費を上回るようになりました。
人間は農耕を始める以前までは、自然の食糧を摂取して、俗にドングリと呼ばれる堅果類(トチ・カシ・シイノミなど)を食べて生きてきました。
イネは縄文時代の後半に日本に伝来してきたと言われ、その証拠は九州の板付遺跡や中国地方の名倉遺跡などで見つかっています。弥生時代になると、稲作が急速に日本全土に伝わるにつれ、食糧の計画生産が可能になってきました。
日本で栽培されているイネの品種は約1000ほどありますが、古い歴史をもつ中国やインドなどの東南アジアの国々で栽培されているイネの品種の数は非常に多いと考えられ、推測すると世界で約10万種ほどあるといわれています。日本の品種数だけからは想像できないくらい多種多様な品質の米が世界にはあります。米粒の大きさ、形、色、香り、デンプン、タンパク質、脂質の米の成分組成などさまざまな品種があります。
イネのタネは、日本のように高温多湿の気候では、一年から一年半しか寿命がありません。
そのため、品種を保存するには毎年新しい種を使って栽培し(種子更新)、植えつないできました。
タネの寿命を延ばすためには、乾燥度合いが高ければ高いほど、保存する温度が低ければ低いほど、その発芽力を長く延ばすことができることがわかってきました。例えば、タネの水分含量を6%にし、貯蔵温度を20度にすると、43年間貯蔵可能です。さらに、氷点下0度まで下げると、なんと1000年もの間発芽力を保つことができるのです。
このように、タネは新しい品種改良のために「植物遺伝資源」として保存されています。
わが国の「ジーンバンク」という施設で保存されているタネは12000点以上にもなります。
バイオテクノロジーは、微生物や動物を中心に発展してきましたが、最近そうした技術をイネにも応用しようとする気運が高まっています。このような技術によって、それぞれの植物が持っている固有な性質を相互に交換することにより、病気や害虫に強く、寒さなどの自然環境の変化に耐え、人間の生活にとって有用な植物を作り出しつつあります。
(例) 疲労回復米(コエンザイムQ10強化米)
花粉症緩和米
これまで述べてきたように、米の中には、いろいろな可能性が潜んでいます。
今は単なる夢物語でも、思いもかけないような形で「コメ」と出会う機会があるかもしれません。
炭水化物、タンパク質、脂肪など私たちの食生活にとって欠くことのできない栄養素が、豊かに詰まっている米をさらに活用することができるかもしれません。
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